テーマ展示Ⅲ「大佛次郎の戦後ニッポン―未来を信じるチカラ―」

焼け跡からの出発となった72年前の日本。大佛次郎は何を思い、未来を担う若者たちに何を託したのでしょうか。生誕120年を記念する本年度、三本目となる今回の展示では、敗戦から昭和30年代半ばにいたる戦後のあゆみを取り上げます。

東久邇宮内閣参与への任命から、大佛次郎の戦後は幕を開けました。

1945年 内閣参与の頃

依然、敗戦のショックと混乱が続く中、当時の「日記」(『敗戦日記』)や「メモ」には治安警察法廃止の提言とならび、スポーツの振興といった青少年に向けた政策提言を見出せます。内閣が1か月半で総辞職したため、これら政策が直接実現されることはありませんでしたが、「少年たちの未来を明るくしたい」という思いは、執筆活動の大きな原動力となっていきます。

主筆を務めた雑誌「学生」や主宰雑誌「天馬」では、若者にむけた多くのメッセージを発信し続けました。

                         表紙 画・加藤泰治 昭和23.8月号

一方、同時期に執筆された「帰郷」から「宗方姉妹」、「旅路」、「風船」へといたる現代小説には、怒りや希望、当時の社会に向けた思いが込められています。

このほか「敗戦日記」から続き、「帰郷」執筆へと繋がる約3年の期間にわたる日記群(本邦初公開)から、大佛次郎の内なる思いを読み解きます。

 

今回初公開となる日記群。最初の1冊だけが「敗戦日記」と同じ自由日記という洋書形式のものに書かれ以降は和綴じ本に毛筆の日記となっている。

 

大佛次郎が描いた未来像は私たちの生きる現代とどのように結びついているでしょうか。

未来を描き出す人間的な強さと明るさに着目しつつ、過去と現代を貫く道筋をたどります。