テーマ展示Ⅲ ロマン・ロラン生誕150周年記念「大佛次郎のフランス」
大佛次郎(1897-1973)は「思想的に傾倒し影響を受けた」と後に記すほど、ロマン・ロラン作品の熱心な読者でした。高等学校時代にフランス語を選択したことで、フランス文学や歴史への関心が大きく広がり、やがて大佛文学を支えるバックボーンの一つとなりました。ロマン・ロラン作品との出会いは、まさにその端緒となるものでした。
本展はフランスの作家・平和主義思想家ロマン・ロラン(1866-1944)の生誕150年を記念し、大佛次郎とロマン・ロラン、さらにはフランスとの関わりをたどる展覧会です。

ロマン・ロラン生誕100周年記念講演会(1966)
第一部(part1:大佛次郎とロマン・ロラン)
大佛のロラン作品との出会いから、生涯にわたる読書歴を紹介します。また、東京帝国大学卒業後に相次いで刊行した『先駆者』(1921年)、『クルランボオ』(1922年)、『ピエールとリュス』(1924年)等の翻訳やその後の執筆活動を通して、日本でのロラン作品紹介に大きな役割を果たした、詩人・尾崎喜八(1892-1974)やフランス文学者・小牧近江(1894-1978)との交流を描きます。
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1958年6月7日酉子夫人宛て絵葉書(表)
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1958年6月7日酉子夫人宛て絵葉書(裏 マドレーヌ寺院)

1958年6月15日酉子夫人宛て絵葉書(表)

1958年6月15日酉子夫人宛て絵葉書(裏:パンテオン)
第二部(part2:大佛次郎のパリ便り)
それから約40年後の1958年、初めて訪れたフランスの印象を、夫人に宛てた48通の絵はがきを通してたどります。この欧米旅行から帰国後、大佛は日本とヨーロッパを比較する多くのエッセイを書くほか、翌1959年には、長く温めていたフランス四部作*の三作目、「パナマ事件」の執筆に取りかかります。この旅行はその後の執筆活動を考える上で、一つの画期にあたるといえます。
本展覧会全体を通じ、様々な形で垣間見える「大佛次郎の愛したフランス」の具体像にせまります。
*フランス四部作とは・・・
『ドレフュス事件』(1930年)、『ブウランジェ将軍の悲劇』(1941年)、『パナマ事件』(1959年)、『パリ燃ゆ』(1964年)の4作品。いずれもフランス第三共和政成立期の歴史を題材とした作品。
≪関連イベント≫
2017年1月29日(日)13:30~15:00(開場13:00)
料理研究家 那須井綾子とめぐる「大佛次郎の≪美味しい≫フランス紀行」(詳細はこちらから)
大佛次郎の1958年、61年のフランス旅行を、「食」を切り口に、料理研究家・那須井綾子氏のナビゲートでたどります。大佛自身が撮影した画像で、レトロなパリの街並みをたどりつつ、“美味しい”大佛の旅行を追体験します。