愛蔵品コーナー「大佛次郎と長谷川路可―イタリアに咲いた花」
1958年5月から7月までアメリカからヨーロッパを歴訪した61歳の大佛次郎(1897-1973)は、イタリアのローマ近郊にある古い港町チヴィタ・ヴェッキアに立ち寄りました。1951年から57年まで7年間の歳月をかけて、友人の画家・長谷川路可(1897-1967)が日本聖殉教者教会の聖堂内に描いたフレスコ壁画を見るためでした。
路可がこの仕事によって1960年菊池寛賞を受賞したとき、大佛が書いたエッセイが残されています。その文章には、50歳を過ぎてから単身イタリアへ渡り、壮大な壁画を仕上げた路可に対する尊敬の念と温かい眼差しが感じられます。
大佛次郎と長谷川路可との出会いは、戦前にさかのぼります。1921年、東京美術学校の日本画科を卒業してすぐフランスに渡った路可は、西洋画法やフレスコ技法を学びながら、ルーヴルなどの博物館が所蔵する西域壁画の模写に従事し、1927年に帰国。大佛次郎が1929年の一年間にわたり『国民新聞』に連載した小説「からす組」の挿絵を手がけました。同じ年の第9回新興大和絵会展に路可が出品した日本画4点は、大佛次郎の美術コレクションに収まり、現在は当記念館が所蔵しています。
軸装の大幅4点-《春苑》《虹》《時雨》《浜風》-を図版パネルとして一挙公開すると共に、日本画・油彩画・フレスコ画と多彩な創作を続けた長谷川路可の活動を紹介します。
なお、当館では2023年1月6日~4月16日「大佛次郎 美術の楽しみ―大佛次郎記念館のコレクションより」を開催し、展示替えをしながら長谷川路可の日本画4点をお披露目します。
【会期】 2022年11月22日(火)~2023年秋
【お問合せ】
大佛次郎記念館 TEL:045-622-5002(10:00 ~ 17:00) FAX:045-622-5071
※新型コロナウィルス感染症の拡大状況によっては、予定を変更する場合がございます。ご来館の前にホームページ等で最新の状況をご確認ください。